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活動のご報告

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防災会議(17)原発事故から4年~福島の学びと地域づくりへの道:地元NPOの視点から/2015.3.17

2015.03.25 09:51

 2015年3月14日から18日にかけて宮城県仙台市で第3回国連防災世界会議が開催されています。東日本大震災の被災地である仙台市で開催することは、被災地の復興を世界に発信するとともに、防災に関する日本の経験と知見を国際社会と共有することが期待されています。
 第3回国連防災世界会議についてはこちらをご覧ください。
 
 本会議開催に合わせて、仙台市内の多くの会場で一般向けのパブリックフォーラムが開催されます。数多くあるイベントにEPO東北スタッフも参加してきましたので、その模様をご報告いたします。
 
催事名:原発事故から4年~福島の学びと地域づくりへの道:地元NPOの視点から
主催:ふくしまCSO連合
日時:2015年3月17日(火)9:15~11:40
会場:TKPガーデンシティ仙台(アエル内)ホールD(30階)
 
内容:
(1)開会挨拶・趣旨説明
(2)第1部トークセッション「福島で起きたこと」
  ■福島第一原発~原発建設と事故、避難【大熊町の場合】
  スピーカー:阿部光國氏(大熊町町議会議員)
  聞き手:鈴木和隆氏(うつくしまNPOネットワーク)
  ■原発事故~届かない情報、困難を極めた要援護者の避難
  スピーカー:髙木健氏(福島県社会福祉協議会、老人福祉施設協議会復興委員会事務局長)
  聞き手:佐藤宏美氏(ふくしま連携復興センター)、小林紀子氏(ふくしまNPOネットワークセンター)
  ■現在の状況~福島の子どもたちは今
  スピーカー:本田環氏(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター)
  聞き手:吉野裕之氏(シャローム)
(3)第2部パネルディスカッション「原発に依存しない地域をどうつくるか‐福島の市民社会の視点から」
  登壇者:
  菅野正寿氏(福島県有機農業ネットワーク)
  浅見彰宏氏(会津耕人会たべらんしょ主宰)
  五十嵐乃里枝氏(会津自然エネルギー機構代表)
  藤村靖之氏(非電化工房代表)
  モデレーター:
  藍原寛子氏(フリージャーナリスト)
(4)閉会挨拶
 
 第1部のトークセッションでは、福島第一原発建設当時の地域や社会状況について、事故が起こった当時の要援護者の避難状況について、そして現在の子どもたちの避難状況について、福島県内で活動を続けてきた地元NPOの方々からお話を伺いました。福島では現在も12万人以上が避難を続けており、その大きな影響は続いています。「私の個人的な感じ方ではあるが、大熊町民はディアスポラ(故郷を失い、故郷から離れて暮らす人々)に、町はアネクメーネ(人間の居住できない土地)になってしまった」というスピーカーの言葉に胸が締めつけられる思いでした。
 第2部のパネルディスカッションでは、現在も途上国・新興国を含む世界各地で多くの原発が建設されている状況を鑑み、原発に依存せずに、これからの地域づくりに必要なことについて、パネリスト同士の意見交換を行いました。パネリストからは、見えない放射能への不安、福島県内で状況は異なるのに「福島県産」とひとくくりにされてしまう風評被害、多くの農家が自分たちの作ってきた土地を汚染されたという苦しみを抱えたこと、コミュニティが分断されたことなどの課題が挙げられていました。これからの地域づくりに必要なことについては「現在の社会を再構築する必要性」と「豊かさに対する価値観の転換の必要性」が中心的な話題だったと思います。特に、パネリストの方の「福島県民ではないから関係ないという話ではありません。事故が起きてしまったとき、放射能の被害に県境は関係ないのだから。危険と分かっていても、代替策がなければやめられないと言い続けるのですか」という言葉が忘れられません。
 誰でも安全でおいしいものを食べて、安心して暮らし、自分の健康や生活を守りたい。福島原発事故は、福島県内だけの問題なのではなく、原発の是非に関してだけの問題なのではなく、これまでの流通の仕組みやエネルギーのあり方、お金がある人はより儲け、そうではない人々にしわ寄せがくるような、そうした社会構造の根本から見直さなければならない問題なのではないかと感じました。

(Report/Oyamada)