東北の環境パートナーシップを応援します。

活動のご報告

活動のご報告

<催事参加>山形県環境保全協議会 塩竈浦戸諸島復興支援活動in寒風沢/2013.6.29

2013.07.02 00:00

山形県環境保全協議会(事務局:NPO法人環境ネットやまがた)は東日本大震災以降、宮城県塩竈市浦戸諸島復興支援活動を行なっています。協議会の会員を中心に参加を呼びかけ、2011年は浦戸諸島桂島、2012年からは浦戸諸島寒風沢で瓦礫や汚泥撤去等の復興支援活動を行なってきました。 今回で第3回となる塩竈浦戸諸島復興支援活動。現在は瓦礫・汚泥撤去等の支援活動から清掃等の生活支援活動へシフトしてきているそうです。総勢49名が山形から浦戸諸島寒風沢を訪れました。

日時:2013年6月29日(土)
主催:山形県環境保全協議会(事務局:NPO法人環境ネットやまがた)

■寒風沢島について

宮城県塩竈市浦戸諸島は桂島、野々島、寒風沢、朴島の4つの島を示し、寒風沢は浦戸最大の島です。数々の歴史が語り継がれ、文化財も多く指定されています。島民は漁業、農業や観光(民宿等)の産業で暮らしていました。東日本大震災の津波により、島内での犠牲者はなかったものの、漁業設備や農地、家屋の被災で産業を再開できず、人口流出などの課題を抱えています。復旧・復興が遅れている地域のひとつで、右下の写真のポールの高さまで防潮堤が作られる予定だそうです。

■復興支援活動の内容

早朝、山形からマリンゲート塩竈まで大型バスで移動し、港からはフェリーで寒風沢まで行きました。寒風沢に到着後は8つのグループに分かれて、途中にお昼休憩を挟みつつ、16:00まで活動を行ないました。被災地のニーズは多様であるため、それぞれのグループで活動の内容は違うのですが、今回はEPO東北スタッフが参加した第7班の活動をご紹介します。

<第7班の活動>

第7班は男女合わせて5名の班。参加者は、会社でボランティア募集の呼びかけがあり参加した企業人たち。第7班が向かったのはUさん宅で作業依頼内容は2階の窓の清掃でした。Uさん宅に着いたら、Uさんは嬉しそうにお茶を入れ、いきなり「お茶っこ」が始まりました。とにかくボランティアさんに囲まれて嬉しそうなUさんの笑顔が印象的でした。

一通りお話をさせていただいた後、作業開始。2階にあるガラス戸を1枚1枚外し水で丁寧に洗っていきます。山形県から来られたボランティアさんたちはとにかく作業が丁寧でスムーズ。最初は全て同じ会社に所属されている同僚の皆さんかと思っていたのですが、そうではないそうです。Uさんは2階に上がり、きれいになったガラス戸を見て「うわ~、こんなにきれいになって~」と驚いてました。ガラスをきれいにする作業は1階にまで進み、まだ時間があったので、家に取り付けてある扇風機まで取り外してきれいに洗われていました。

作業も終わりみんなでUさんに挨拶したとき、Uさんは泣いておられました。私が1日、第7班に同行させていただいて強く感じたのは、山形県から来られたボランティアの方々の優しさに触れて「忘れていませんよ」という気持ちがUさんに伝わったのではないかということです。涙を拭きながら、第7班が見えなくなるまで手を振り続けるUさんの姿は、非常に印象的でした。

参加した方々からは、下記のような声が聞こえてきました。

【参加者Iさん 男性】
今回、会社でボランティア募集があり、初めて参加しました。これまで何もしてこなかったので非常に良いきっかけでした。参加して本当に良かったと思います。Uさんが震災当時のお話をしてくれた事やUさんに喜んでもらえたことがうれしい。最後に別れる時は涙が出そうでした。Uさんより震災時のお話を聞きましたが、心のケアが必要だと強く感じています。 震災を振り返って、電気や水道水など、今まで無駄に使ってきたように思います。これからは資源を無駄にしない生活をしなければいけないと感じています。私は今回のボランティアを機会に支援活動を続けていきたいと考えています。

【参加者Wさん 女性】
今回は2回目の参加です。会社のボランティア募集で参加しました。受け入れてくれたUさんはいろいろなお話をしてくれて、私にも優しくしてくれました。自分では大したことはできないですが、それでもUさんは喜んでくれて「私にもできることがある。」と感じました。これからもボランティア活動を続けていきたいです。

【参加者Tさん 男性】
魚釣りが好きで宮城県の沿岸部にはよく出かけていたし、特に気仙沼は親類がいるので馴染みがありました。大震災後、初めて気仙沼に入った時は声も出ませんでした。 今回のボランティアには会社の募集で参加しました。何度も参加していますが、非常に良い経験だと思います。私が勤務する会社では社員研修としても被災地ボランティアをプログラムに入れています。ボランティア活動は社員研修にも通じるものがあります。机に座って話を聞くのも良いですが、このようなボランティアを通して人と触れ合うことは得られるものが多いと感じています。ボランティアでなくても被災地へ遊びに行くとか食事に行くとか、そうしたことでも良いと思います。とにかく被災地に足を運ぶことが、これからは重要になると思います。 震災を振り返って、これまで無駄なものが多かったと感じています。私は会社でISOの担当をしておりリサイクル等を進めていますが、普段からやっている環境に配慮した行動を、これからも普段通り続けていきたいと思います。

■主催者の想い/山形県環境保全協議会(事務局:NPO法人環境ネットやまがた)大場氏

主催者、山形県環境保全協議会の事務局を担うNPO法人環境ネットやまがたの大場氏よりお話を伺いました。

2011年、東日本大震災が発生してから「何かできることはないのか」と思っていましたが、なかなか被災地には入ることができず、現地やコーディネーターと調整を行なった末、9月に被災地に支援に入ることができました。初年度は総勢60名で宮城県塩竈市内と浦戸諸島桂島の支援活動を行ない、海岸の清掃や民家の瓦礫の片づけなどをしました。帰りのバスでは参加者の皆さんより「何かしたいと思っていたので、来る機会があって良かった」との声をいただきました。さらに、参加者の皆さんより「継続的に支援する活動を企画してほしい」とご要望を多くいただいたことから、2年目、3年目の活動へとつながっています。
2年目以降は、人手が足りていないという現地のニーズにより寒風沢での活動になりました。大震災から2年以上が経過して、瓦礫はだいぶ片づき、被災直後という感じは薄れてきています。しかし、被災地が変化する中で、支援の形も変化していかなければならないと思っています。事務局としては会員さんの要望次第なので今後この活動はどうなるか未定ですが、個人としては長く復興支援に携わっていきたいと思っています。現地の方の思いを無視しては支援はできないと思うので、島の人たちのニーズをよく聞いていきたいです。

震災から2年以上が経過した現在も、隣県の山形から支援をいただいていることは、とても心強く感じます。被災地では課題やニーズが変化し、より多様化していること、そしてそれらをよく拾いながら復興に向けて進んでいくのが重要なことなのだと勉強になりました。

(2013/6/24 Suzuki)