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活動のご報告

活動のご報告

<催事協力>地球温暖化最前線の国について知る /2016.2.7

2016.02.10 10:40

 青森県内で環境に関する活動に携わる団体、地球温暖化防止活動推進員、環境教育専門員の皆さまを対象とした交流会が開催されました。 EPO東北は本企画における講師とのマッチング支援のお手伝いをさせていただきました。

 

タイトル:平成27年度環境活動発表交流会~協働の実践に向けて~
日時:2016年2月7日(日)13:00~16:15
会場:青森県民福祉プラザ
主催:青森県地球温暖化防止活動推進センター、青森市地球温暖化防止活動推進センター(NPO法人青森県環境パートナーシップセンター)

 

内容:
■講演「キリバス共和国 地球温暖化最前線の国」
 ケンタロ・オノ氏(キリバス共和国名誉領事)

 キリバス共和国は赤道直下にある、人口約10万人の国です。実は日本とはとても深い関係があります。日本のカツオ一本釣り漁船乗組員を育成する漁業訓練校があり、日本の支援によって海を埋め立てて造られた道路は「ニッポン・コーズウェイ」と呼ばれています。
 
 低海抜環礁国のすべてが地球温暖化による影響を最初に受けます。本来穏やかな赤道性気候であったキリバスでも、近年は極端な気象現象や高潮被害、海岸浸食が多く見られるようになったそうです。海洋大国であるキリバスでは、目の前の海で採れる魚が日々の食事の基本ですが、海水温の上昇によりサンゴの白化が進めば海の生態系に影響し、魚が獲れなくなってしまいます。島々が無くなる前に、水や食糧の危機がやってきます。そしてそれはもう目前まで迫っていること、キリバスという国として、キリバス国民として、存亡の危機に直面しているのだとお話しいただきました。

 

■話題提供「環境活動における協働について」
 鈴木美紀子(EPO東北)

 EPO東北からは、世界で起きている様々な環境問題が、私たちの暮らしと密接に関わっていることをお話ししました。今の大学生は、小学校から高校までの間に環境教育を受けて育ち、環境の難しい用語を知っていますが、果たして毎日の暮らしとつなげて考えることができているでしょうか。当たり前のようにカップラーメンを食べ、買い物ではレジ袋をもらう、その行動が巡り巡って熱帯雨林の消滅や野生生物の絶滅につながっているかもしれません。私たちが日々の暮らしの中で何を食べ、何を買い、何に囲まれて暮らすかの選択が、温暖化はもちろん世界のさまざまな環境課題と密接につながっていることを知ることが重要で、環境教育の現場ではこれらを総合的に考える教育が求められます。
 そして世界の環境課題は、貧困や開発、人権問題などさまざまな社会課題と複雑に絡み合っています。多様な社会課題を総合的にとらえ、新しい価値観のもとで考え行動することができる人材を育てる場や、人材づくりのことを「ESD」と呼んでいます。複雑に絡み合う社会課題を考えるために、環境教育においても分野の垣根を超えた、多様な主体の協働による環境教育が期待されています。

 

■話題提供「環境教育推進ワークショップ実施報告」
 谷地よし美氏(青森県環境政策課)

 青森県では10月23日に協働の環境教育について考えるフォーラムを、その後3会場でワークショップを開催し、「協働」するためにどんなことが必要かを参加者で議論する場を設けました。ワークショップ時に参加者の意見を書き留めた模造紙は会場後方にすべて掲示され、議論の一端を垣間見ることができました。
 フォーラムやワークショップの内容、参加者からどんな意見が出されたのか、特に多かった意見や印象に残る意見について報告がありました。

 この企画にはEPO東北も協力をしています。詳細レポートはこちらでご覧いただけます。
 

■グループワーク「みんなで協働の木を育てよう!」

 講演、話題提供の感想をグループ内で共有し、これまでの環境活動で取り組んだこと、これから協働で取り組んでみたいことについて意見を出し合いました。模造紙には木の幹を描き、色とりどりの付箋に意見を書きこんで花や実に見立てて貼りつけ、「協働の木」を描いてもらいました。


 キリバスのこと、温暖化の危機は目の前に迫っているのだということを多くの方に伝えたい、知ってもらいたいと熱心に議論が交わされていました。

【参加者の感想(抜粋)】
●地球温暖化に国の存亡がかかっているキリバスの現状と課題のお話しに魂を揺さぶられた。ツバルの絵本を読んだときも事象の重大さは感じたが、本を通しての感想と、帰化されたオノ氏の語りから受ける感じ方には大きな違いがあった。日常の取組みの甘さを大いに反省し、もっと本気に伝えられる工夫をしなければと思った。
 
●遠くにあって日本と縁の深いキリバスの国としての存続が、我々の環境活動にかかっているということが心に沁みた。
 
●キリバスの愛国心と支援、環境教育のエールを切実に感じた。私たちの活動の必要性を自覚し、拡げていくことが重要。
 
●COP21により締結された「パリ協定」ではキリバスはじめ島しょ国の強く切実な訴えにより“気温上昇を1.5℃に抑える努力をする”という目標が併記された。これまでの島しょ国の努力に敬意を表するとともに、キリバスやツバル等の厳しい現実をぜひこれからの活動の中で紹介していく責任を感じる。
 
●温暖化の現実被害と直面するキリバスからの熱い発信に、もっと世界に向けても自分たちのできることをしていかねばと危機感を強くした。環境出前講座でも、子どもたちに伝えていきたいと思った。とても参考になった。
 
(Report/Suzuki)