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活動のご報告

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<EPO東北>協働取組の加速化事業【山形県】 山の感謝祭を開催/2017.1.28

2017.02.07 16:57

地域活性化に向けた協働取組の加速化事業に取り組む山形県のプロジェクトにおいて、地域住民を対象に木質バイオマスについて学んで・ふれて・地元のおいしいものを味わう催事「冬に楽しむ!山の感謝祭」が開催されました。
 
■地域活性化に向けた協働取組の加速化事業について
 環境分野における協働取組を推進するために、協働のノウハウを明文化し全国でモデル事例を共有する目的で生まれた環境省事業です。平成25年度から始まりました。
全国の今年度採択団体についてはこちらをご覧ください。(外部リンク)
 
■山形県のプロジェクトについて
◇団体名:三瀬地区自治会
◇プロジェクト名:鶴岡市三瀬地区 木質バイオマスで地域のエネルギーを自給自足
◇概要:
 人口減に悩む三瀬地域では、コミュニティ保持の対策が進められており、その一つのテーマに再生可能エネルギーを掲げています。荒廃した山林を手入れし、間伐材を薪などの木質バイオマス利用を進めることで、エネルギーの自給自足と地域の雇用創出、地域活性を目指します。本事業では地域の大型施設に試験導入するなど、地域での活用を促進するための実証や啓発に取り組みます。
第1回全体会のレポートはこちらをご覧ください。(内部リンク)
 
 
≪冬に楽しむ!山の感謝祭IN三瀬≫
日時:2017年1月28日(土)10:00~14:00
会場:三瀬コミュニティセンター
 
(1)山を学ぼう
1)講演「世界のバイオマス利用例と三瀬地区の可能性」
講演者:梶山恵司氏(バイオエナジー・リサーチ&インベストメント株式会社)
 日本の省エネは世界最高水準に到達しました。ドイツでは再生可能エネルギーの利用拡大と脱原発を進めている一方で、フランスの安い原発の電力に依存しています。そのドイツでもバイオマス発電量は年々増加傾向にあり、農村に新しい富をもたらしたエネルギー自立型の事例から、バイオマスの可能性が感じられます。
 日本においてバイオマスは全国どこにでもある資源です。手間暇がかかり、使い勝手の上で化石ボイラーに劣るイメージがありますが、実際にはシステムで管理ができ化石燃料以上の利便性になっています。バイオマス利用では、資源が算出される近くで使えば使うほど有利であり、地産地消の典型です。その点、三瀬地区は森林に囲まれた土地であり、バイオマス利用の可能性を十分持っています。失敗事例では利用実態に合わない設備設計が多く、導入の際のエンジニアリングが重要であることがわかります。デメリットや大変さを把握した上で全体を設計すれば、安価にかつ効率的に活用できるエネルギーだと考えています。
 
2)パネルディスカッション「それぞれの山の恵みの活用」
コーディネーター:三浦秀一氏(東北芸術工科大学)
パネラー:今野暢子氏(主婦)
     三浦金市氏(三瀬の薪研究会 代表)
     小関孝尚氏(株式会社佐藤工務 森林施業プランナー)
     本間日出子氏(三瀬保育園 園長)
 
①今野暢子氏(主婦)「薪ストーブで楽しい料理」
 山形に移住して、下段にオーブンがついた薪ストーブを購入して2年が経ちました。後悔したことは一度もありません。軽いやけどや小さなトラブルはあるけれど、人が生きていく上では大切な体験と学びのように思います。石油ストーブや電気にはない温かさ、火のぬくもりに心から癒され、料理をする楽しみも増え、冬が楽しみになりました。
 
②三浦金市氏(三瀬の薪研究会 代表)
 薪ストーブユーザーだけではなく、三瀬保育園などでも園児を対象とした薪割体験を実施しています。木をどうやって利用しているかが見えて、子ども達にも学びになっているようです。イベントでは薪釜ピザを焼いて振る舞いをします。女性メンバーが増え、今ではピザ作りチームとして活躍してもらっており、以前に増して活動に活気がでてきました。
 
③小関孝尚氏(株式会社佐藤工務 森林施業プランナー)
 平成24年から森林事業に取り組んでいます。間伐をすることで元気な森を育て、育った木を伐採して利用します。森林は切るだけではダメで、伐採した後には植林し、保育し枝切りをして森を育てなければなりません。森のサイクルを保つことが重要だと考えています。
 
④本間日出子氏(三瀬保育園 園長)
 地域の森を活用した保育の展開を実施しています。四季を通して山へ遊びに行くと感性が育まれます。園庭も「自分で考え自分で遊ぶ」を目指して、専門家に相談しながら丸太や間伐材を使った遊具を整備しました。何度も自己決定と試行錯誤を繰り返し、やがて遊具を使った遊びができるようになることで、子どもたちの自尊感情が育っています。
 
(2)山とふれあおう
■ペレット・薪ストーブ展示
■稼働中薪ストーブの見学(三瀬コミュニティセンター事務室)
■薪割り体験
■木のクラフト体験(箸、ストラップ)
 
(3)山はおいしい
■産直・食品加工品販売
■汁物販売(山の恵み:きのこ汁、海の恵み:鱈のどんがら汁)
■薪で焼いたピザの振る舞い
 
 会場内にはさまざまなコーナーが設けられ、おいしいものを食べながら見て・聞いて・体験できる、楽しい企画内容でした。薪ストーブユーザー目線の発信が多く、参加者からは「いいよね薪ストーブ」という声も。薪ストーブやペレットストーブの展示を熱心に見る参加者の姿も見られました。稼働中の薪ストーブの周りでは、専門家から「みんなやっていないけれど実際はこうやって使うと熱効率が良い」等、実用的な情報交換も行われていました。
 プロジェクトでは「三瀬モデル」の構築を目指し、地区内の大型施設における薪ボイラー導入検討などが進められています。
(Rrport/Suzuki)